ワン
ゆっけ先生、小動物の動物病院で働くって、求人票では「月給28万円・週休1.5日」って書いてあるじゃないですか。あれって本当ですか…?
ゆっけ
鋭いところ突きますね。結論から言うと、額面は嘘じゃないけど、生活の実感はかなり違います。 今日はそこを正直に話します。
獣医学生・新卒・転職を考えている若手——どの立場の人にも刺さる話だと思います。きれいごと抜きで、1年目の手取り・残業・休日・夜間呼び出しを全部公開します。
本記事でわかること
- 小動物臨床1年目の リアルな手取り月収(額面と手取りはこんなに違う)
- 求人票には書かれない 本当の労働時間と残業
- 週休1.5日の中身——休めているように見えて休めていない理由
- 夜間呼び出し・オンコールの実態
- これから小動物臨床に入る人が 絶対に確認すべき5項目
まずは数字から:1年目の給料のリアル
求人票でよく見る数字と、実際の手取りはこんな感じです。
| 項目 | 額面 | 手取りの感覚 | |---|---|---| | 月給 | 27〜30万円 | 21〜23万円 | | 賞与(年) | 月給1〜2ヶ月分 | 30〜50万円 | | 年収 | 350〜400万円 | 280〜320万円 |
ゆっけ
ここから家賃・奨学金返済・国保・自動車維持費が引かれます。奨学金がある人は本当にきつい。私の同期で「初任給で実家に仕送りした」って言ってる人、ほぼいません。
ワン
えっ…思っていたよりずっと少ない…。同年代の他職種と比べてどうなんですか?
ゆっけ
同年代の大卒平均と、ほぼ同じか少し上くらいです。6年間学費を払って国家資格を取った割には、リターンが見合っていないと感じる人は多いです。だからこそ「数年後にどうキャリアを動かすか」を1年目から考えるのが大事になります。
労働時間:求人票の「9〜19時」を信じてはいけない
ここが一番声を大にして言いたいところ。
ゆっけ
求人票の「診療時間 9:00〜19:00」を見て「10時間労働かぁ」と思った人——そこに+2〜3時間が標準です。
1日のリアルなタイムライン(私の1年目の例)
出勤・入院動物のチェック
開院前に出勤して、入院中の子の治療と状態チェック。朝が一番病態が動く時間なので、ここで「今日は急変するかも」を見抜く。新卒の頃はこの判断がつかなくて、毎朝胃が痛かった記憶があります。
午前診察開始
予約と飛び込みが混ざって、休む暇なく回す。新卒は院長の診察補助 → 自分の予診 → 検査の組み立て、を同時並行でこなすので、頭がパンクします。
ゆっけ
最初の3ヶ月は、診察と診察の間でカルテを書く時間すらない。お昼休みに昨日の分を書き起こすこともザラでした。
休憩(建前)
「お昼休み2時間あります」の罠。実際は 手術・検査・カルテ書き・飼い主への電話 で潰れます。本当に座って飯を食えるのは20分くらい。
午後診察 + 手術
午前と同じ強度。手術が長引けば終わりは平気で20時を超える。
閉院
ここで終われるのは月の半分以下。残りの日は ↓
残業
- 入院動物の最終チェック
- カルテの清書
- 院長との症例検討
- 翌日の手術準備
ゆっけ
「カルテを家に持ち帰って書く」が普通になっている病院、めちゃくちゃ多いです。これ、サービス残業ですからね…?
月の労働時間、ざっくり計算
- 平日:12〜13時間 × 22日 ≒ 270時間
- 残業時間:月60〜90時間
ワン
これ、過労死ライン(月80時間)に普通に届いてませんか…?
ゆっけ
届いてます。そして業界では「普通」とされてしまっているのが一番の問題です。
休日:「週休1.5日」の中身
求人票の「週休1.5日」を分解すると、こうなります。
- 完全休:週1日(だいたい木曜とか)
- 半休:週1日(午前 or 午後だけ)
ここまでは紙の通り。問題は 「休みの日に呼び出されない保証はない」 ということ。
ゆっけ
入院動物の状態が悪くなれば、休みの日でも電話がかかってきます。新卒のうちは「行きません」とは言えない雰囲気もあって、結局病院に向かう。月に1〜2回はそういう日がありました。
半休の正体
「午後休み」と言われても、手術が長引けば16時から休みみたいなことが普通に起きます。「半休」を真に受けて13時から予定を入れていた同期が、何度泣いていたことか。
夜間呼び出し(オンコール)のリアル
ここが小動物臨床で一番ハードな部分です。
ゆっけ
入院動物がいる病院では、夜間に状態が悪化したら誰かが対応しないといけない。当番制の病院もあれば、「新人が全部対応」の病院もあります。
呼び出される頻度の目安:
| 病院規模 | 夜間呼び出しの頻度 | |---|---| | 入院少なめの個人病院 | 月0〜2回 | | 一般的な個人病院 | 月3〜5回 | | 大型病院・救急対応あり | 週1〜3回 | | 二次診療・夜間救急 | 当直制(夜勤あり) |
ワン
夜中に呼ばれて、翌日も普通に診察…なんですか?
ゆっけ
そうです。「夜中3時に処置 → 朝8時から通常勤務」が当たり前。これが続くと、本当に判断力が落ちます。新卒1年目で一番怖いのは、ここで医療ミスを起こすことです。
求人票で絶対に確認すべき5項目
転職や就活で病院を選ぶときに、私が必ずチェックしているポイントです。
- 入院動物の有無と頭数 → 多いほど呼び出しが増える
- 夜間対応のルール → 当番制 / 全員対応 / 外部委託(夜間救急に流す)
- 時間外手当の支給有無 → 「みなし残業」に何時間含まれているか
- 手術の執刀ローテーション → 1年目から執刀させる病院は、教育体制が薄いことが多い
- 離職率・在籍年数 → 同じ年代の先輩が何人いるか聞く(3年で全員辞めてる病院は要注意)
ゆっけ
特に⑤は、面接で必ず聞いてください。「3年以上いる勤務医が何人いますか?」って。歯切れの悪い答えが返ってきたら、その病院はやめた方がいいです。
それでも小動物臨床が好き、という人へ
ここまで散々ハードな話をしてきましたが、それでも小動物臨床を選ぶ価値はあると私は思っています。
- 動物と飼い主の人生に深く関われる
- 1年目から自分の手で命を救える瞬間がある
- 経験値の伸び方が、他のキャリアとは比較にならない
ただし、それは 「自分を壊さない病院を選べたら」 の話。1年目で潰れる人を、私は何人も見てきました。
ワン
だから「最初の病院選びが超大事」ってことなんですね。
ゆっけ
その通り。「とりあえず内定出たから」で決めると、3ヶ月で病みます。転職エージェントに相談して、内部情報込みで比較するのが、今の時代の鉄則です。
まとめ
- 1年目の 手取りは月21〜23万円 が現実的なライン
- 月の 残業は60〜90時間、過労死ラインに届く病院も普通
- 週休1.5日は紙の上の話。半休と呼び出しで実質週休1日になりがち
- 夜間呼び出しは病院規模で大きく変わる。求人票では絶対に確認する
- 病院選びで失敗しないために、5つのチェック項目を必ず確認する
数字を知ったうえで、それでも「やる」と決めた人は強いです。覚悟を持って小動物臨床に飛び込むなら、私は全力で応援します。
ゆっけ
「どの病院が地雷で、どの病院が当たりか」は、求人票だけでは絶対にわかりません。転職エージェントは内部情報を持っているので、新卒・若手の段階から相談しておくのがおすすめです。
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